「この薬、なんで飲むんだろう」
処方された薬を毎日飲みながら、
そう思ったことがある人は少なくないと思います。俺自身は、脳梗塞発症の直後には服薬がありませんでした。
その後、心不全と糖尿病を発症してから、
薬との長い付き合いが始まりました。薬の名前を言われても、何のための薬なのかわからない。
でも、飲み続けることの意味を知っていると、
続けるモチベーションが変わってきます。
この記事では、脳梗塞後に処方される代表的な薬と、
その役割をわかりやすく整理します。
脳梗塞後の薬は「再発予防」が目的
脳梗塞の治療は、急性期の処置が終わればそれで完結するわけではありません。退院後も薬を飲み続けるのは、再発を防ぐためです。
一度脳梗塞を起こした人は再発しやすく、発症後1年で約10%、5年で約35%、10年で約50%の人が再発するといわれています。
この再発リスクを下げるために、血液・血管・血圧・コレステロールなど、それぞれの問題に対応した薬が処方されます。「症状がないから飲まなくていい」ではなく、「症状が出ないようにするために飲む」という理解が大切です。

① 抗血小板薬——血栓をできにくくする
脳梗塞のうち、心臓以外の血管が原因で起きるタイプ(非心原性脳梗塞)には、抗血小板薬が処方されます。
血小板は血液を固める役割を担っています。抗血小板薬はこの血小板が過剰に集まって血栓を作るのを防ぎます。
代表的な薬には以下のものがあります。
| 一般名 | 商品名の例 | 特徴 |
|---|---|---|
| アスピリン | バイアスピリン | 古くから使われる基本薬 |
| クロピドグレル | プラビックス | 動脈硬化性の脳梗塞に多く使われる |
| シロスタゾール | プレタール | 脳の細い血管の梗塞に用いられることが多い |
抗血小板薬は出血リスクも伴うため、服用量や使用期間は医師の管理が必要です。歯科治療や手術の前には必ず主治医・担当医に申告してください。
② 抗凝固薬——心臓由来の血栓を防ぐ
心房細動など、心臓の異常が原因で起きた脳梗塞(心原性脳塞栓症)には、抗凝固薬が使われます。
心臓内でできた血栓が脳の血管に飛んでくるタイプの脳梗塞で、抗血小板薬ではなく抗凝固薬が有効とされています。
代表的な薬には以下のものがあります。
| 種類 | 商品名の例 | 特徴 |
|---|---|---|
| ワルファリン | ワーファリン | 古くからある薬。納豆・緑黄色野菜との相互作用に注意が必要 |
| DOAC(直接経口抗凝固薬) | エリキュース・イグザレルト・プラザキサなど | 新しいタイプ。食事制限が少ない |
DOACは半減期が短く、飲み忘れが続くと脳梗塞リスクが高まります。1日1回または2回の服用タイミングを守ることが特に重要です。
③ 降圧薬——血圧を下げて血管を守る
高血圧は脳梗塞再発の最大のリスク因子です。血圧を適切にコントロールするために、降圧薬が処方されます。
降圧薬にはARB・ACE阻害薬・カルシウム拮抗薬・利尿薬など複数の種類があり、患者の状態に合わせて選択・組み合わせられます。
血圧を薬でコントロールするというのは、
「血圧が高くなったら飲む」ではありません。毎日飲み続けることで血圧を一定に保つ薬です。
「今日は調子がいいから」と飲み忘れると、
その日の血圧が上がってしまうこともあります。
④ スタチン——コレステロールを下げて動脈硬化を防ぐ
動脈硬化が原因の脳梗塞には、悪玉コレステロール(LDL)を下げるスタチン系薬剤が処方されることがあります。
コレステロールが高いと血管の壁にプラーク(脂肪の塊)が溜まり、動脈硬化が進みます。スタチンはこのプラークの形成を抑え、血管を守る働きをします。
代表的な薬にはアトルバスタチン(リピトール)、ロスバスタチン(クレストール)などがあります。

⑤ その他——基礎疾患に応じた薬
脳梗塞を発症した人の多くは、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの基礎疾患を抱えています。これらの治療薬も再発予防の一環として継続されます。
俺の場合、脳梗塞発症の直後は服薬がありませんでした。
ところがその後、心不全と糖尿病を発症してから、
一気に薬の種類が増えました。
毎日何種類もの薬を飲むのは最初は戸惑いましたが、
「それぞれに役割がある」とわかってからは、
飲み続けることへの抵抗感が少し減りました。薬の名前より、「何のために飲むのか」を知ることが
続けるための一番の近道だと思っています。
薬を飲む上で知っておきたいこと
自己判断でやめない
「調子がいいから」「副作用が気になるから」という理由で自己判断でやめることは非常に危険です。気になることがあれば、必ず主治医や薬剤師に相談してください。
他の薬・サプリとの飲み合わせに注意
市販薬やサプリメントが処方薬と相互作用を起こすことがあります。特に抗凝固薬(ワーファリン)を服用している場合は注意が必要です。何か新しく飲み始める前に必ず確認しましょう。
歯科治療・手術の前は必ず申告する
抗血栓薬を服用していると出血が止まりにくくなるため、歯科治療や手術の前には必ず処方薬の内容を担当医に伝えてください。
まとめ
- 脳梗塞後の薬は「再発予防」が目的。症状がなくても飲み続けることが重要
- 抗血小板薬:非心原性脳梗塞の再発予防。血栓の形成を防ぐ
- 抗凝固薬:心原性脳塞栓症の再発予防。心臓由来の血栓を防ぐ
- 降圧薬:血圧を一定にコントロールして血管を守る
- スタチン:悪玉コレステロールを下げ動脈硬化を防ぐ
- 自己判断でやめず、気になることは主治医・薬剤師に相談する

著者:のぞむ(脳梗塞・心不全・糖尿病の当事者)
自分の闘病経験が、誰かの「まさか自分が」を防ぐヒントになれば、このブログを書く意味があると思っています。
※この記事は当事者の体験と公開情報をもとに作成しています。医療上の判断は必ず医師にご相談ください。


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