俺は倒れる前、自分が脳梗塞になるとは思っていませんでした。
34歳。「まだ若い」という気持ちがどこかにあって、
体の不調を見て見ぬふりしていた部分もあったと思います。今になって当時の生活を振り返ると、
リスク因子にいくつも当てはまっていました。
知っていれば、何かが変わっていたかもしれない——
そう思うからこそ、この記事を書きます。
脳梗塞の危険因子とは
脳梗塞の発症に関わる「危険因子(リスクファクター)」は、医学的に複数明らかになっています。危険因子に当てはまるものが多いほど、リスクが積み重なっていきます。
日本脳卒中学会の脳卒中ガイドラインでは、高血圧・糖尿病・脂質異常症・心房細動・喫煙・飲酒・炎症マーカーの7つが主な危険因子として挙げられています。
① 高血圧——最大の危険因子
高血圧は脳梗塞の最大のリスク因子とされています。血圧が高い状態が続くと血管が傷みやすくなり、動脈硬化が進みます。
高血圧が完全に予防できれば、日本人の脳卒中は今よりも約半分に減るとも言われています。それほど高血圧の影響は大きいのです。
自宅での血圧管理の目標は、収縮期血圧(上の血圧)135mmHg未満かつ拡張期血圧(下の血圧)85mmHg未満が目安とされています。
倒れる前、俺は血圧を測る習慣がありませんでした。
「具合が悪いわけじゃないし」と思っていた。
でも高血圧は自覚症状が出にくい。
気づかないうちに血管がダメージを受け続けていた可能性があります。
② 糖尿病——脳梗塞の「第4の合併症」
糖尿病があると脳梗塞の発症リスクは男性で約2.2倍、女性では約3.6倍になるとされています。高血糖が続くことで血液がドロドロになり、血栓ができやすくなります。
糖尿病は初期に自覚症状がほとんど出ないため、健診で指摘されても放置してしまうケースが少なくありません。しかし「知りながら放置」が最も危険です。

③ 脂質異常症——動脈硬化を進める
悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪が高い状態が続くと、血管の壁にプラーク(脂肪の塊)が溜まり、動脈硬化が進みます。
総コレステロール値が一定量増えるごとに脳梗塞の発症率が上昇するという研究もあります。スタチン系薬剤による脂質異常症の治療が脳卒中の発症頻度を約23%低下させるという報告もあり、治療を続けることが重要です。
④ 心房細動——心臓からの血栓リスク
心房細動という不整脈があると、心臓の中に血栓ができやすくなり、それが脳に飛んで脳梗塞を引き起こします。心房細動がある人は脳梗塞の発症リスクが2〜7倍高くなるとされています。
厄介なのは、心房細動の約4割は無症状という点です。自覚症状がなくても、健診の心電図で指摘されたことがある方は必ず治療を受けてください。

⑤ 喫煙——最も改善しやすいリスク因子
喫煙は脳梗塞の独立したリスク因子です。タバコに含まれる有害物質が血管を傷つけ、動脈硬化を促進します。喫煙者は非喫煙者に比べて脳梗塞のリスクが2〜4倍高いとされています。
禁煙するとリスクは徐々に低下し、数年で非喫煙者に近いレベルに改善することが知られています。危険因子の中でも「自分の意志で変えられる」という点で、最も取り組みやすいものです。
⑥ 肥満・運動不足
肥満は高血圧・糖尿病・脂質異常症を引き起こしやすく、間接的に脳梗塞リスクを高めます。BMI(体重÷身長²)が高いほど脳梗塞の発症リスクが高くなることが確認されています。
運動不足も同様に生活習慣病のリスクを上げます。週5日・1日30分程度のウォーキングなどの有酸素運動が、血圧・血糖・コレステロールの管理に有効とされています。
⑦ ストレス・睡眠不足・脱水
見落とされがちですが、ストレス・睡眠不足・脱水も脳梗塞のリスクを押し上げます。
ストレスは交感神経を刺激し、血圧を急上昇させます。睡眠が乱れるとホルモンバランスが崩れ、血糖や血圧が不安定になります。脱水は血液を濃くして血栓ができやすい状態にします。特に夏場や、高齢の方が水分補給を控える習慣がある場合は要注意です。
「若いから大丈夫」は通用しない
脳梗塞は50代以降に多い病気ですが、30〜40代でも発症します。特に若い世代の場合、動脈硬化以外の原因(脳動脈解離・卵円孔開存など)が関係することもあります。
「若いから」「症状がないから」は安心の根拠にはなりません。危険因子を知り、今の生活習慣を見直すことが最大の予防策です。

まとめ
脳梗塞の主な危険因子をまとめます。
| 危険因子 | ポイント |
|---|---|
| 高血圧 | 最大のリスク因子。自覚症状が出にくい |
| 糖尿病 | 脳梗塞リスクが2〜3倍以上に上昇 |
| 脂質異常症 | 動脈硬化を促進。スタチン治療が有効 |
| 心房細動 | 心臓からの血栓で脳梗塞リスクが2〜7倍 |
| 喫煙 | リスクを2〜4倍に高める。禁煙で改善できる |
| 肥満・運動不足 | 生活習慣病のリスクを間接的に高める |
| ストレス・睡眠不足・脱水 | 急性のリスクを押し上げる誘因になる |
当てはまるものがあっても、今から対策を始めることでリスクは下げられます。まず自分のリスクを知ることが、最初の一歩です。
著者:のぞむ(脳梗塞・心不全・糖尿病の当事者)
自分の闘病経験が、誰かの「まさか自分が」を防ぐヒントになれば、このブログを書く意味があると思っています。
※この記事は当事者の体験と公開情報をもとに作成しています。医療上の判断は必ず医師にご相談ください。


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