倒れた日のことを思い返すと、
「あのとき気づいていれば」という後悔が今もあります。
体に異変を感じていたのに、
「疲れているだけだろう」と自分に言い聞かせていました。
脳梗塞の前兆は、思っているより地味で、
思っているより日常の中に紛れ込んでいます。
この記事では、見逃しやすいサインを一つひとつ整理していきます。
脳梗塞の前兆とは?
多くの脳梗塞には、本格的な発症の前に一過性の警告サインが出ることがあります。
これを**一過性脳虚血発作(TIA:Transient Ischemic Attack)**といいます。脳への血流が一時的に低下することで脳梗塞と同様の症状が現れますが、多くの場合、数分〜30分程度で自然に消えるのが特徴です。
「症状が消えたから大丈夫」と安心するのは危険です。TIAを経験した人のうち、一定割合の方がその後数日〜数週間以内に本格的な脳梗塞を発症するという報告があります。一度おさまっても、必ず医療機関を受診してください。

見逃しやすい前兆サイ
① 手足のしびれ・力が入らない
突然、片側の手や足がしびれる、または力が入りにくくなる症状です。「ちょっと手がしびれた」「箸を落としてしまった」というレベルでも要注意です。
ポイントは片側だけに症状が出ること。脳梗塞の場合、左右の脳のどちらかが障害を受けるため、体の片側に症状が集中します。
② ろれつが回らない・言葉が出ない
急に言葉がうまく出てこない、話そうとしても発音が不明瞭になる、という症状です。本人は「何かしゃべりにくい」と感じる程度でも、周囲からは「急に話し方がおかしくなった」と見えることがあります。
「疲れて舌が回らないだけ」と判断しがちですが、突然起きた言語の異変は要注意です。
③ 顔の片側がゆがむ
笑顔を作ると口角が片側だけ上がらない、顔の一方がたるんだように見える、といった症状です。鏡を見れば気づきやすいですが、自分では気づかないこともあります。
④ 視野の異常
片方の目が急に見えにくくなる、視野の一部が欠ける、物が二重に見える、などの症状が突然現れた場合は危険なサインです。「目の疲れかな」と見過ごしてしまいやすい症状の一つです。
⑤ 突然の激しい頭痛
これまで経験したことのないような激しい頭痛が突然現れた場合、脳梗塞や脳出血のサインである可能性があります。とくに吐き気・嘔吐を伴う場合は迷わず救急を呼んでください。
俺の場合、倒れる前に「なんか首のあたりがおかしい」という感覚がありました。
ズキズキするほどの痛みではなく、
違和感と呼んだほうが近い感じでした。
脳動脈解離が原因だったことを後から知り、
あの違和感がそのサインだったのかもしれないと思っています。
「いつもと違う」と感じたら、それだけで受診する理由になります。
⑥ めまい・ふらつき
突然まっすぐ歩けなくなる、バランスが取れなくなる、といった症状も脳梗塞の前兆として現れることがあります。「立ちくらみ」や「疲れからくるめまい」と自己判断して放置してしまうケースが多い症状です。
覚えておきたい「BE-FAST」
脳梗塞のサインを素早くチェックする合言葉として「FAST」が知られています。近年はこれに「B」と「E」を加えた「BE-FAST」が、より多くの症状をカバーできるとして推奨されています。
| 頭文字 | 意味 | チェックポイント |
|---|---|---|
| B | Balance(バランス) | 突然のふらつき・歩行困難はないか |
| E | Eyes(視覚) | 突然の視野異常・二重見えはないか |
| F | Face(顔) | 笑顔で口角が片側だけ下がらないか |
| A | Arm(腕) | 両腕を上げると片方だけ下がらないか |
| S | Speech(言葉) | ろれつが回っているか、言葉が出るか |
| T | Time(時間) | 症状に気づいた時刻を確認し、すぐ119番 |
いずれか一つでも当てはまれば、迷わず救急車を呼んでください。
「様子を見る」が最も危険
脳梗塞の治療には時間的な制約があります。発症から4.5時間以内であれば血栓を溶かす薬(tPA)による治療が可能ですが、この時間を過ぎると使える治療の選択肢が大幅に狭まります。
「もう少し様子を見てから」「病院に行くほどじゃないかな」という判断が、後遺症の重さを左右します。
一人暮らしだと、異変に気づいても
「このまま寝たら治るかな」と思ってしまいがちです。
でも実際に倒れた俺が言えるのは、
「おかしいと思ったら、その瞬間に動いてほしい」ということです。
自分を過信しないでください。
まとめ
脳梗塞の前兆サインをまとめると、次のとおりです。
- 片側の手足のしびれ・脱力
- ろれつが回らない・言葉が出ない
- 顔の片側のゆがみ
- 突然の視野異常
- これまでにない激しい頭痛
- 突然のめまい・ふらつき
これらの症状は一時的に消えることがあります。消えたからといって安心せず、必ず医療機関を受診してください。「いつもと違う」という感覚は、体からの大切なサインです。

著者:のぞむ(脳梗塞・心不全・糖尿病の当事者)
自分の闘病経験が、誰かの「まさか自分が」を防ぐヒントになれば、このブログを書く意味があると思っています。
※この記事は当事者の体験と公開情報をもとに作成しています。医療上の判断は必ず医師にご相談ください。


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