退院した日のことを今でも覚えています。
やっと家に帰れる、という安堵感と同時に、
「これからどうすればいいんだろう」という不安が重なっていました。病院にいる間は、医師や看護師がそばにいてくれる。
でも退院したら、自分で管理しなければならない。
再発が怖くて、何から手をつけていいかわからない——
そんな気持ちを抱えた退院初日でした。この記事では、脳梗塞の退院後に特に重要な再発予防のポイントを整理します。
まず知っておきたい「再発率」という現実
一度脳梗塞を起こした人は再発しやすく、発症後1年で約10%、5年で約35%、10年で約50%の人が再発するといわれています。
10年で2人に1人——この数字は決して他人事ではありません。しかし裏を返せば、再発予防のための行動が、残りの人生の質を大きく左右するということでもあります。
怖がり続けることよりも、やるべきことを一つひとつ続けることが大切です。
① 薬を絶対にやめない
退院後に処方される薬(抗血栓薬・降圧薬・コレステロール低下薬など)は、再発予防のための薬です。
症状が改善した、治ったからといって服薬を止めてしまうと、途端に再発することも多いことが知られています。脳梗塞の再発予防には、薬を継続して服用することが大切です。
「調子がいいから飲まなくていいか」という判断が、最も危険です。
俺も退院後、何種類もの薬を毎日飲み続けています。
正直、薬の数が多くて面倒に感じることもあります。
でも、飲み忘れた日の翌朝に「昨日飲んだっけ?」と不安になる感覚は、
「やめよう」という気持ちよりずっと強くて、
それが続けられている理由かもしれません。
薬の管理が難しい場合は、1週間分を曜日ごとに仕分けできる「お薬カレンダー」の活用が効果的です。飲み忘れが続くようであれば、主治医や薬剤師に相談してみてください。

② 定期通院を欠かさない
退院後は、脳神経内科や脳神経外科を定期的に受診することが必要です。退院後は1〜3か月ごとの外来を目安に、血圧・脂質・血糖・腎機能・心電図などを確認します。
「症状がないから行かなくていい」は危険な考え方です。脳梗塞の再発リスクは、自覚症状がないまま高まっていることがあります。定期検査によって異常を早期に発見し、治療に反映させることが大切です。
年に1回程度はMRIや頸動脈エコーなどの画像検査を受けることも、再発の早期発見につながります。
③ 血圧を毎日測って記録する
脳梗塞の最も高い危険因子は高血圧です。再発を防ぐためには血圧をコントロールする必要があります。
血圧管理のポイントは「毎日測ること」です。朝起きてすぐ(排尿後・食事前)と就寝前の2回、同じ条件で測り、記録する習慣をつけましょう。記録をつけることで自分の血圧の傾向がわかり、通院時に医師への情報提供にもなります。
血圧手帳をつけるようになってから、
「塩分を摂りすぎた翌日は血圧が上がる」ということが
体感としてわかるようになりました。数字で見えるようになると、
食事への意識も自然と変わってきます。
④ 生活習慣の見直しを続ける
再発予防において、薬と同じくらい重要なのが生活習慣の改善です。
高血圧・糖尿病・喫煙・肥満・運動不足・多量飲酒などは脳梗塞発症の危険性を高めます。これらを予防・コントロールすることが再発予防につながります。
特に効果が大きいとされているのは以下の4つです。
禁煙:喫煙は脳梗塞再発の最大の修正可能リスクのひとつです。退院を機に禁煙外来を利用することも選択肢です。
減塩:1日の塩分摂取量を6g未満を目安に、加工食品・外食の塩分に注意します。
適度な運動:ウォーキングなどの有酸素運動を習慣化します。ただし後遺症の程度によって適切な運動強度が異なるため、必ず主治医と相談してから始めてください。
節酒:過度の飲酒は血圧を上昇させます。1日純アルコール20g(ビール中瓶1本程度)以下が目安です。

⑤ 「いつもと違う」を見逃さない
再発の兆候は、突然現れることもあれば、一過性の症状として短時間で消えることもあります。再発かと思ったら、迷わずすぐに救急車を呼ぶことが重要です。
手足のしびれ・ろれつが回らない・片側の視野がおかしい——こうした症状が少しでも現れたら、「前回と同じかも」と自己判断せず、即座に119番に電話してください。

まとめ
脳梗塞退院後の再発予防でやるべきことをまとめます。
- 薬は症状がなくても飲み続ける。自己中断は再発の引き金になる
- 定期通院を欠かさない。1〜3か月ごとの外来が目安
- 毎日血圧を測って記録する。朝・就寝前の2回が基本
- 禁煙・減塩・適度な運動・節酒を継続する
- 「いつもと違う」症状が出たら迷わず119番
退院はゴールではなく、再発予防という新しいステージの始まりです。完璧にやろうと焦る必要はありません。続けることだけを目標にしてください。
著者:のぞむ(脳梗塞・心不全・糖尿病の当事者)
自分の闘病経験が、誰かの「まさか自分が」を防ぐヒントになれば、このブログを書く意味があると思っています。
※この記事は当事者の体験と公開情報をもとに作成しています。医療上の判断は必ず医師にご相談ください。


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