脳梗塞になってから、転職活動をしたことがある。履歴書を書きながら、ふと手が止まった。「病歴、書く欄あったっけ」って。結論から言うと、俺は一度も面接で病気のことを話したことがない。日常生活に支障もないし、通院も必要ない。だったら、それはもう俺の個人情報であって、会社に開示する義務のあるものじゃないと思っている。ただ、直属の上司にだけは、個人的にこっそり話したことがある。そのへんの線引きを、今日は自分の経験と調べた範囲の情報でまとめておきたい。
病歴を伝える法的な義務はあるのか
これは調べてみて俺も改めて整理できたことなんだけど、労働者には自分から不利益になる事実を積極的に会社へ告知しなければならない義務は、原則としてない。だから面接で病歴について聞かれなければ、自分から病気であることを申告する必要はない。
ただし、面接で直接質問された場合に嘘をつくのはリスクがある。虚偽の回答をして、それが入社後に発覚し信頼関係が壊れた場合、最悪懲戒や解雇につながる可能性がある。逆に言えば、「聞かれていないことまで自分から話す義務はないけど、聞かれたら嘘はつかない」というのが基本的なラインになる。
また、採用後に持病が発覚したとしても、それが「現在の業務に支障がない」「十分に耐えられる」ものであれば、法的にすぐ不利益な扱いを受けるようなものではない。逆に業務に耐えられないレベルの病状を意図的に隠していた場合は、重大な告知義務違反として問題になるケースもあるようだ。
俺自身は医師でも社労士でも弁護士でもないので、これはあくまで一般的な情報として読んでほしい。個別の状況で不安がある場合は、社労士や弁護士、あるいはハローワークの専門相談窓口に確認するのが確実だと思う。
俺が「言わない」を選んだ理由
脳梗塞になってから何度か転職活動をしてきたけど、面接でも履歴書でも、一度も病気のことを話したことはない。理由はシンプルで、日常生活に支障がないし、定期的な通院も必要ないから。麻痺が残っているわけでもなく、仕事を制限しなければならない場面もない。だったら、それはわざわざ会社に申告するようなことじゃなくて、あくまで俺個人のプライベートな情報だと考えている。
一方で、直属の上司にだけは個人的に話したことがある。これは会社への「告知」というより、単に人として信頼している相手に自分のことを知っておいてほしかった、という感覚に近い。会社という組織に対する開示と、個人的な人間関係の中での共有は、俺の中では別物として扱っている。
心不全や糖尿病についても同じスタンスで、今のところ仕事に何か制限がかかっているわけではないので、あえて言う必要性を感じたことはない。

オープン就労・クローズ就労という選択肢
調べていく中で「オープン就労」「クローズ就労」という言葉があることを知った。オープン就労は、障害者手帳を提示した上で障害者雇用枠で働く方法。クローズ就労は、障害や病気の事実を会社に開示せず、一般雇用枠で働く方法を指す。
オープン就労だと会社側が病状を把握しているので、業務の調整や配慮を受けやすい一方、採用時には障害者手帳が前提になる。クローズ就労は一般枠での採用になるので選択肢や待遇の幅は広いけど、当然ながら会社側からの特別な配慮は期待できない。
俺も一度、ソーシャルワーカーにこのあたりの話を聞いたことがある。ただ、脳梗塞の後遺症で身体障害者手帳の交付対象になるほどの症状は俺にはなく、心不全も内部障害としての認定基準には届いていない。だから「自分には関係のない制度」だと判断して、それ以上踏み込んで調べたことはなかった。内部障害での手帳交付には症状の程度による基準があるので、当てはまるかどうか気になる人は、主治医や自治体の窓口に確認してみるといいと思う。
「伝えるべきかどうか」の判断基準
これまでの経験から、俺なりに考えている判断基準はシンプルだ。日常生活や仕事に何らかの支障が出ているなら、伝えたほうがいい。逆に、内部障害だけで表向きの支障が特にないなら、無理に伝える必要はないというのが俺の考え方。
これは「隠す」ということとは少し違う。聞かれれば正直に答えるし、業務に影響が出るなら当然会社に相談する。ただ、聞かれてもいないのに、支障のないことまで自分から申告して不利益なレッテルを貼られるリスクを負う必要はない、というのが実感としてある。
このあたりの感覚は、病気を抱えて生きてきた中で身についたものだと思う。持病があること自体は変えられない事実だけど、それをどう扱うかは自分で選べる部分がある。

就職後の不安、経済的な備えについて
転職や就職活動そのものとは少し話がずれるけど、もし就業中に体調を崩して働けなくなった場合、会社員であれば傷病手当金という制度で一定期間の収入を補える。転職活動の段階で病気のことをどう扱うか悩んでいる人は、こういうセーフティネットの存在も知っておくと、少し気持ちが楽になるかもしれない。

まとめ
転職・就職活動における持病の開示に、法律上の一律な正解はない。聞かれていないことを自分から話す義務はないし、業務に支障がないなら無理に伝える必要もない。ただし、聞かれたときに嘘をつくのはリスクがあるし、業務に耐えられないレベルの病状を隠すのは別問題になる。
俺自身は「日常生活・仕事に支障があるかどうか」を基準に、これまで一度も面接で病気のことを話したことがない。それが正解かどうかは分からないけど、少なくとも今のところ、それで困ったことは一度もない。
著者:のぞむ(脳梗塞・心不全・糖尿病の当事者)
自分の闘病経験が、誰かの「まさか自分が」を防ぐヒントになれば、このブログを書く意味があると思っています。
※この記事は当事者の体験と公開情報をもとに作成しています。法律・労務に関する判断は社労士・弁護士に、医療上の判断は必ず医師にご相談ください。


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