入浴の注意点——ヒートショックと片麻痺がある人の入浴方法

入浴の注意点——ヒートショックと片麻痺がある人の入浴方法 情報・解説

俺は左半身に温痛覚障害がある。触った感覚はあるのに、熱いとか痛いという感覚だけがわかりにくい。だから入浴の時は、左半身にお湯や熱いものが当たらないように気をつけている。それ以外は、正直あまり不自由を感じていない。

幸い、運動の麻痺はない。手足は普通に動くし、浴槽をまたぐのも洗い場に座るのも問題ない。同じ脳梗塞の当事者でも、片麻痺で入浴そのものが大変な人がいると知って、自分は恵まれているんだと改めて思う。

ヒートショックについては、入院中も退院後も、医師や看護師から特に説明を受けたことはない。脱衣所の温度やお湯の温度を気にしたこともなかった。今回、調べてみて「これは知っておくべきだった」と思うことがいくつもあったので、まとめておく。

あと、一人暮らしなので、もし入浴中に何かあっても、誰にも気づいてもらえないという不安は正直ある。

ヒートショックとは何か

ヒートショックとは、急激な温度差によって血圧が大きく変動し、身体に大きな負荷がかかることで起こる状態のことだ。失神や不整脈などの症状が見られ、重症の場合は死に至ることもある。

暖かい部屋から寒い脱衣所に移動すると血圧が急上昇し、そのあと熱い湯船につかると血管が広がって血圧が急降下する。この急激な血圧の乱高下が、心臓や血管に大きな負担をかける。

統計で見るヒートショックの怖さ

入浴中の事故死者数は、年間で約1万9000人にのぼると推計されている。家庭の浴槽での溺死者数は年々増加傾向にあり、そのうち約9割が65歳以上の高齢者だ。

時期でみると、12月〜2月の冬場に事故が集中している。東京都23区のデータでは、1月の入浴中事故死者数は8月の約7倍にのぼる。寒い脱衣所と熱い湯船の温度差が、冬場に事故が集中する大きな要因になっているようだ。

高齢者の割合が多いとはいえ、「持病がない健康な人にもヒートショックは起こる」とされている。脳梗塞・心不全・糖尿病を抱えている俺たちのような当事者は、年齢に関係なくリスクが高いグループに入ると考えたほうがよさそうだ。

ヒートショックを防ぐための対策

調べてみて、これは今日からでもできると思った対策をまとめておく。

  • 入浴前に脱衣所や浴室を暖めておく(シャワーのお湯を先に出して蒸気で温めるだけでも効果がある)
  • 湯温は41度以下、つかる時間は10分以内を目安にする
  • 浴槽から立ち上がる時は、手すりや浴槽の縁を持ってゆっくり
  • 飲酒後・食後・体調がすぐれない時の入浴は避ける
  • 一人で入る時は、家族や同居人にひと声かけてから入る

俺は一人暮らしなので、最後の「声をかける」という対策がそのままは使えない。これについては後述する。

片麻痺がある人が気をつけたいこと

一口に片麻痺といっても、俺のような感覚障害(温痛覚障害)が中心の人もいれば、運動障害(手足が動かしにくい)が中心の人もいる。それぞれで気をつけるポイントが違う。

感覚障害(温痛覚障害)がある場合

熱さや痛みを感じにくいと、やけどをしていても気づくのが遅れる。特にシャワーは温度が一定でないことがあるので、麻痺のある側にいきなり浴びせず、まず健側の手でお湯の温度を確認してから使うのが安全だ。

自分では意識していなかったが、これは今回調べて初めて「なるほど」と思った注意点だった。脳梗塞の後遺症には感覚障害以外にもいろいろな種類がある。

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運動障害(運動麻痺)がある場合

手足に麻痺があって浴槽をまたいだり洗い場に座ったりすることが難しい場合は、道具や環境を整えることで安全性がかなり変わってくるようだ。

  • 浴槽の出入り用の手すりや、またがずに済む移乗台・バスボード
  • 浴槽内で座ったまま高さを調整できる浴槽内椅子
  • 洗い場用のシャワーチェア
  • 浴室内の滑り止めマット
  • 片手でも背中を洗える両側ループ付きタオル

浴槽をまたぐこと自体に不安がある場合は、無理に湯船につからず、シャワー浴から始めるという選択肢もあるらしい。訪問介護やデイサービスの入浴介助を頼れる場合は、介護保険のサービスを使うのも一つの手だ。

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一人暮らしでの入浴、気をつけたいこと

「一人で入る時は家族に声をかけてから」というのが定番の対策だが、一人暮らしだとそもそも声をかける相手がいない。

正直、これといった決定的な解決策はまだ見つけられていないが、意識できることはいくつかありそうだ。

  • 湯船に長時間つからない(のぼせて意識がもうろうとするリスクを減らす)
  • 浴室のドアの鍵はかけない(外から異変に気づいた時に入れるように)
  • スマートフォンやスマートウォッチなど、何かあった時に助けを呼べる手段を近くに置いておく
  • 家族や友人と、入浴時間帯についてゆるく共有しておく

一人暮らしで具合が悪くなった時にどう対応するかについては、こちらでも詳しくまとめている。

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まとめ

ヒートショックは高齢者だけの問題ではなく、脳梗塞・心不全・糖尿病を抱える当事者にとっても他人事ではないリスクだと知った。片麻痺がある人は、感覚障害と運動障害で気をつけるポイントが違うこと、そして一人暮らしの場合は「声をかけてもらう」という基本対策がそのまま使えないことも、今回調べて改めて意識した。

俺自身は運動麻痺がない分、恵まれている部分が大きい。だからこそ、温度への注意だけは今後も忘れずに続けていきたいと思う。


著者:のぞむ(脳梗塞・心不全・糖尿病の当事者)
自分の闘病経験が、誰かの「まさか自分が」を防ぐヒントになれば、このブログを書く意味があると思っています。
※この記事は当事者の体験と公開情報をもとに作成しています。医療上の判断は必ず医師にご相談ください。

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